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(この文書はもともと「熟議三職」というタイトルだった)

・裁判官
・議長(a.k.a. ファシリテーター)
・法制技官(a.k.a. 専門家)

定義

  1. 熟議三職は公正な裁判と熟議のために高度な独立性を確保されるべきである
  1. 高度な独立性の確保とは職務遂行における政治的圧力や贈賄などの腐敗行為に対する耐性の確保であり、一定の長い期間にわたる将来の安定の確保により実現されてきた
  1. 裁判官らの任期は10年、議長らおよび法制技官の任期は4年ごとに更新され、任期切れの際は国民投票により継続如何が決定する。国民投票はデフォルトで罷免する設定になっている。
  1. 議長と法制技官は熟議のスループットを上げるためにある程度の余裕を持った人材確保が必要であり、議長と法制技官の人数とその期の提案数に基づいて提案手数料の時価と、次期の議長および法制技官の新規登用数が決定する。
  1. (4)の新規登用数を上限とした熟議三職の任命は提案による立候補制である。(あるいは新規登用数はon-chainの値とせず熟議で合意形成する)

■ 議長と法制技官の提案への関わり方

  1. 提案のうち手数料が最も高いものから順にVDFでランダムに選ばれた議長を登用する
  1. 議長がその提案の領域タグを任意の個数決定する
  1. 領域タグで法制技官をソートして、領域ごとに担当をランダムに決定する(一人で複数タグを満たせる法制技官が優先登用される)
  1. 議長と法制技官と審議員で熟議を開始する

■ この設計のトレードオフ

・明確に腐敗した議長や法制技官は任期まで罷免できない

・熟議三職の政治的イデオロギーが裁判や熟議に影響するため、「現在の熟議三職のイデオロギーの趨勢」が極めて重要な要素となる(米国の最高裁判事の保守リベラルバランスなどを見ると雰囲気がわかる)

■ 政治家の欠点

立法者を熟議三職(裁判官等)のように選ぶとそれは政治家に他ならない。

「立法者がランダム登用で選ばれる」というのは、立法者が自分で立法内容を考える性質からすると論理的に意味をなさない。

言い換えると、旧来の政治家という役割は熟議三職よりも低いセキュリティしか持ち合わせていないということになる。政治家をセキュアにするために、国民なら誰でも立法できるようにし、ファシリテーターと専門家という不足しがちな役割を熟議三職のセキュアさで持ち込んだということになる。

一方で、熟議三職が(プロトコル外で)政党に所属することは想像できるが、これはプロトコル外であることからわかるように、全体のセキュリティに何ら影響を及ぼさない。集会・結社の自由を尊重すべきだろう。

■ 旧来の司法試験の課題に見る試験による選別の課題

  1. 司法試験は負担が大きく、疫病などで機能不全になると受験者の努力が水の泡になるリスキーなキャリアである
  1. 熟議三職は熟議で任命される。いわゆる司法試験のような選別と競争により選ばれる形ではない。
  1. 熟議が疫病に強い設計なので、社会が疫病で機能不全にならないように徹底して守るコストが要らない。
  1. 裁判官は常時120件あまりの事件を抱えており、情報処理能力が高くないといけない。キャリアの魅力が落ちると機能不全になる。