算数ではじめてのプログラミング教育
  • 先生のためのプログラミング教育入門シリーズ
  • 算数でプログラミング教育編

関係する学習指導要領項目
第1学年
A 数と計算
(1) 数の構成と表し方に関わる数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(イ) 個数や順番を正しく数えたり表したりすること。
(ウ) 数の大小や順序を考えることによって,数の系列を作ったり,数直線の上に表したりすること。
(エ) 一つの数をほかの数の和や差としてみるなど,ほかの数と関係付けてみること。

プログラミングで必要な(確認できる,育てられる)算数的知識・主たる論理的思考力
  • 0から10までの整数の算用数字を用いた表記法
  • 一桁の整数の足し算
  • 「1の次は2,2の次は3・・・」という事実から,「Nの次はN+1である」と類推,抽象化できる力

対象学年
  • 1年生以上(ブロックプログラミングのスタート用)
  • ただし,”繰り返しと変数を用いた実現”は3年生以上?

はじめに

 この資料は,小学校でのプログラミング教育を,特に算数の学びの中に組み込んで行おうとしたとき,まず一番最初に行うことをお勧めする数をかぞえようコースについて解説します.プログラミングの経験がない先生でも,これを読むことで数をかぞえようコースを実践できるようになることを目指して書きましたので,ぜひ,実際にプログラミングを体験しながら読み進めてみてください.

 直接関係する学習内容は1年生の数と計算に対応しますが,このコース内容のすべてを1年生で行うのは無理があります.”数をかぞえるプログラム”は1年生でも十分にできますので,ぜひ実践してみてください.
 なお,このコースは,プログラミング体験を行うことで算数の学びが深くなる効果は小さいですが,たとえば「じゅうに」を数字で表すときは・・・と考え「12」と入れておき,プログラムを実行すると「じゅうに」と喋ってくれるプログラムを作ることを通して,数を数字で表す練習,確認が行えると思います.
.また,この後に続く算数でのプログラミング教育の基礎となる部分です.ここでプログラミング(コーディング)をきちんと体験させ,プログラミングの楽しさを感じつつ,プログラミングの基礎を学んでおくことが,今度のプログラミング教育を効果的にすることにつながります.

ブロックプログラミングの準備

 プログラミングとはなにか,プログラム言語とはなにか,を話し始めるととても長くなってしまいますので,書きたいのをぐっと我慢して,そこは飛ばすことにします(^^) 
 本コースではプログラムを作って動かすための環境としてScratchを使います.これらは,ブロックをつなげることでプログラムを作るブロックプログラミングと呼ばれるプログラミング環境の種類の一つです.ブロックプログラミングはとてもとっつきやすく,プログラミングの経験がなくても,まずはとにかく試してみるということができ,小学校のプログラミング教育には適していると思います.
 では,さっそく,これらを使えるようにしましょう.すべてを使えるようにする必要はありませんが,環境によってできることが変わりますので,余裕があったらすべて準備しておくのも良いでしょう.

オンライン版Scratchの準備

 インターネットにつなげることができ,オンライン版のScratchが利用できます.IEやEdge,Chrome,などのWebブラウザを起動して,Scratchのwebサイト(https://scratch.mit.edu/)を開いてください.オンライン版Scratchはサインイン(ログイン)しなくても利用できますが,作ったプログラムをインターネット上に保存することができ,サインインさえすればどのPCからでもプログラミングの続きができるようになりますので,登録してサインインできるようにするのが理想です.ただし,参加するためにはメールアドレスが必要になりますので,児童にはログインさせずに使わせるのが良いかもしれません.なお,この資料の執筆段階でScratchのバージョンは2であり,FLASHが使えないiOSデバイスでは利用できません.
 右上に表示されているScratchに参加しようをクリックして,表示されるダイアログ(小さなウィンドウ)に従って情報を入力してください.登録ができたら,右上のサインインをクリックして,登録したユーザ名とパスワードを入力してサインインしてください.

オフライン版Scratchの準備(インストール)

 オフライン版のScratchをインストールすると,インターネットにつなげることなく利用できるようになります.ただし,作ったプログラムの保存はローカルに保存する必要があります.共用PCのハードディスクに保存してしまうと,そのPCを使わないとプログラミングの続きができなくなりますので,SDカードやUSB型メモリなどのモバイルストレージに保存するか,学校内のサーバに格納されるように保存しましょう(学校に導入されているPCでは,そのPCに児童各自のアカウントでログインした場合,特定の場所に保存すれば,サーバに保存されるような設定がされているはずなので,その場所に保存するようにしましょう).
 オフライン版のScratchのインストールは,Scratchのwebサイト(https://scratch.mit.edu/)を開いて,一番下にある一覧からオフラインエディターをクリックしてください.表示されるページの指示に従って,まずAdobe Airのインストール用ファイルをダウンロードし,それを実行してインストールしてください.次に,Scratchオフラインエディターのインストール用ファイルをダウンロードし,それを実行してインストールしてください.

はじめてのブロックプログラミング

 では,はじめてのブロックプログラミング(はじめてのプログラミングでしょうか?)を始めたいと思います.