ポストインターネット時代の芸術作品_ネット公開用
甲南女子大学文学部メディア表現学科 メディア表現発展演習Ⅰ Aグループ


postinter.net workshop ─3日でなれるポスト・ネットアーティスト by 谷口暁彦


何が「芸術作品」となれるのか?

絵画とか彫刻を「芸術作品」と呼ぶのはわかる(ような気がする).けれど,インターネットにあるウェブサイトなどをそもそも「芸術作品」と呼べるのだろうか? 

では,逆にインターネットにあるものを「芸術作品」と呼ばない理由はどこにあるのだろうか?

インターネット以後の世界

インターネット以後の世界はどのように変わったのだろうか? 私たちは常にスマートフォンのディスプレイをみつめて,「インターネットに接続する」ということ意識することなくして,アプリを使っている.インターネット以後,私たちの生活が大きく変化したのだから,表現の世界もまた変化しなければならないのではないだろうか.ということで,これから「ポストインターネット時代の芸術作品」を見ていきます.

Artie Vierkant


Image Objects

イメージがオブジェクトになって,オブジェクトが画像になるとなるとされる.オブジェクトが画像としてインターネットを流通していくことは理解できると思います.では,イメージがオブジェクトになるとはどういうことでしょうか? これは,実際に作品を見ると体験できます.インターネットがイメージが実際に作品を見ているときに介入してきます.Photoshopで加工されたイメージは物理世界ではありえないものとなっていますが,実際の空間に行くと,Photoshopで加工されたイメージのようには作品や展示空間が見えないことが不思議に思えてきます.現実世界のあり方がインターネット上の画像によって更新されてしまったといえます.

現代の情報技術が可能にした現実空間



  • 僕たちは「現実空間」を,ユークリッド幾何学で記述されるような客観的かつ数量的なものとは考えていないし,主体の心理的な体験空間であるとも考えていない.「現実空間」は「情報空間」の部分的かつ瞬間的な現勢化であり,現勢化するや否や未だ現実化していない問題提起的な潜在的「情報空間」として再度問い返される.「物理空間」は即座に「情報空間」の素材として可変的かつ流動的な課題へと変化する.そしてまた,僕たちは「情報空間」を別の仕方で「物理空間」へ転用しようとする.そのループの中で,僕たちは仮設的な「現実空間」を体験している.


Joshua Citarella


Weightless Stone II, 2015, Archival Pigment Print and Ceramic Tile, 80 x 53 x 4" 

画像の加工と主観とのあいだ