Vivliostyle Pubのビジネスモデル
2021年8月7日 小形克宏(一般社団法人ビブリオスタイル理事)

Vivliostyle Pubとは何か


一口でいうと、Markdownの原稿をCSSにより組版し、PDFやEPUBに出力できるWebアプリです。以下のようなメリットがあります。

  • インストール不要、セッティングも不要、ブラウザだけあれば使える
  • Markdownで書きさえすれば、きれいに組版できる
  • 原稿を書きながら、その組版結果が確認できる
  • 1つの原稿から3種類のファイル(HTML、PDF、EPUB)が作れる
  • オープンソース(AGPLv3)なので開発の透明性が高く、安心して利用できる

私達に足りないもの


開発元である私達は、利益の分配を目的としない一般社団法人です。これにより目先の利益を追ってユーザの利便性を損ねたりすることはありません。しかしその反面、経済的なリソースに乏しいのが正直なところです。加えて、Vivliostyle Pubには以下のような「できないこと」があります。

  • 組版はできるが、無料フォントしか使えない
  • PDF出力はできるが、印刷はできない
  • EPUB出力はできるが、販売はできない

そこで「三方よし」のビジネスモデル


リソースが限られた私達だからこそ可能なビジネスモデルがあります。私達にないリソースを持った複数の企業と提携し、Vivliostyle Pub上で自由にビジネスをしていただくのです。例えば以下のように。

  • フォントベンダーには、希望するユーザに有償でWebフォントを提供していただく(Vivliostyle Pub上のフォント設定画面から、ベンダーのフォント購入画面に誘導する)
  • 印刷会社には、希望するユーザに有償で印刷サービスを提供していただく(Vivliostyle Pub上に「入稿ボタン」を設置し、ユーザを印刷会社の入稿画面に誘導する)
  • 電子書店には、希望するユーザに有償でセルフパブリッシング・サービスを提供していただく(Vivliostyle Pub上に「納品ボタン」を設置し、ユーザを電子書店の納品画面に誘導する)


その見返りとして、私達は売上からバックマージンをいただきます。このビジネスモデルには、以下のようなメリットがあります。

  • 提携企業は、低廉なコストで新しい顧客層にリーチでき、新たな販売チャネルを創出できる
  • ビブリオスタイルは、利益を得て持続性を確保できる
  • ユーザーは、1つの原稿から印刷もできるし電子出版もできるようになる

まさに「三方よし」です。加えて私達は、提携に当たって以下のようなお約束をします。

  • 御社はユーザに対して独自のアカウントを発行し、自由な裁量で課金できることを保証します
  • ただし、私達は御社のアカウントに対して、バックマージンの請求を目的として最小限度の接続をします
  • 当然ながら、私達は御社に対して守秘義務を負います

以上