5 身体と空間(2) 意味や価値は世界のどこにあるのか? Body and Space(2) Where in the world are values and meanings?

建築ITコミュニケーションデザイン論 第5回:

本江正茂
  • 2020-06-10
 

拡張する身体 Human Enhancement

サイボーグと身体 Cyborg and Body
テレビ番組「NHKスペシャル 立花隆 ヒトはどこへ行くのか」(NHK, 2005)を見つつ。
  • 脳は機械に合わせて進化する 人工内耳 artificial ear
  • 脳が機械で調整される パーキンソン病 Parkinson desease
拡張する身体 Human Enhancement
  • 「増進的介入」で「幸福を追求」
  • 治療目的でない医学技術の行使 use of medical technology except treatment
  • 睡眠薬、体重減少、毛生え薬、出生調節、脂肪やシワをとる手術、腿を細くする手術、豊胸手術、歯列矯正、出生児の性選択。ほか、ドーピング、割礼、美容整形など
  • 遺伝子選別、胚診断、性選択、子供の行為改善
  • 筋肉の大きさと強度の増強、運動成果の強化、
  • 老化の遅延
  • 苦痛の記憶の鈍化、気分を明るくすること

Question

  • 「身体」が人工的に拡張されうるとき、人間と環境との関係はどう変わるか? How will the relationship between humans and the environment change when "body" is expanded?
  • 人間と環境の関係をどのような水準でとらえたらよいのか? What level should we grasp the relationship between humans and the environment?
  • 知覚がソフトウェア次第なら、世界はどのようにあるのか? If perception is up to software,
  • How is the world?

意味や価値は世界のどこにあるのか? Where in the world are values and meanings?

存在論から認識論へ。
近代科学的唯物論 Modern scientific materialism=世界は物質の配列にすぎない。
→物質それ自体には感性も価値も目的もない。つまり意味がない。
→意味や価値は「精神の世界」に生じる。物質の世界と精神の世界の分裂。

アリストテレス(自然の意味は存在しており、知覚される) vs
  • ガリレオ(知覚的に把握されるのではなく、知性によってのみ理解される性質)
  • デカルト(「精神的洞察」知性によって捉えられる「幾何学的延長」)

Question:では「色」はどこにあるか? Where is a Color?
→答えの二極化
  • 知覚主観の感覚として目に入る光刺激を処理する神経の性質に還元
  • 物体表面の微細構造が有する反射率性質にミクロ還元
→それは「色」なのか? ここに「色」はないのか?

精神=脳+神経 ?
  • 「物理主義的な存在者の限られた性質から、「有意味」な環境を「構成」して認識する知性のからくりを、主体に、あるいは脳に帰属せざるを得なくなってしまった」(染谷、p.89)
  • 「ヒトや生き物を取り囲んでいる意味や価値を、何かに還元することなく、取り囲みの中にあるがままに取り扱うことのできる自然科学、そしてそれを支える哲学――特に存在論――が未だに出現していない」し、「生活資源としての意味や価値を従来の物理学や化学がまだ踏み込んでいない高次の事実として正当に扱うことのできる環境の科学が構築できないでいる」(染谷、p.87)
  • 「取り囲まれる生物の知覚と行動につり合った生態学的水準での」環境存在論はいかに可能か?

環世界論 ユクスキュル Unwelt

機械的環境論 
環境=「われわれを取り囲み、一定の刺激によって作用する客体的な体系」
=環境は単一の均質な時空間=環境は客体的な容器=私は環境の主体ではない。
環境改善=容器の修繕という思考
ヤーコプ・フォン・ユクスキュル Jakob  von Uexküll(1864-1944)