2017甲府ウィキペディアエディタソン記録
1 今回のエディタソンのきっかけと特徴(ラーコモラボ通信寄稿文を再編集)

 フィールドワークと、図書館・博物館等にある地域資料を利用して、地域に関するウィキペディア記事を作成・編集する「ウィキペディア・タウン」というイベントが全国で開催されているが、他の人の編集を見る機会はほとんどなかった。ウィキペディア・タウンでは、複数のウィキペディアンが編集サポートとして参加するが、基本的に編集はウィキペディア編集の初心者である一般参加者がおこなうため、ウィキペディアン自身の編集を見ることはなかった。
 また、ウィキペディア・タウンを複数回開催したいと考えている主催者側も、限定的なウィキペディア編集だけを何度も見るだけで、多くのウィキペディアンどのように編集作業をおこなっているのか知らないことが多い状況であった。
 日本でのウィキペディア・タウンが2013年横浜からはじまり1)、2017年6月末現在で開催数はのべ100回を越えている。日本全国でウィキペディア・タウンがおこなわれるようになってきたが、このままでは長期的にウィキペディアンと主催者間ひずみを生む可能性がでてきた。
  そんな中、イベントのきっかけとして、ウィキペディアンの日下九八氏が3月にFacebookにしたエントリーがきっかけとなった。https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=10208159486976032&id=1566939542
 日下氏は経験のあるウィキペディアンがフィールドワークをする際にはどんな視点や粒度で対象を見るのか、記事編集の際にどう資料と向き合うか、そこに書かれている情報をどう取捨選択していくのか、記事にどう書き直していくのかなどの一般的なウィキペディア編集を見る機会の必要性を感じており、前述のFacebookエントリーを投げた
  その後、そのエントリーに、これまでウィキペディア・タウンを開催してきた者や、ウィキペディア・タウンに興味のある者、熟練のウィキペディアンたちが共鳴し、ウィキペディア編集を「見る」本イベントの開催となった。
 
 ウィキペディアタウンのようにグループで一つのテーマを編集することは、ウィキペディア編集では一般的でない。多くは一人で自宅や図書館などで調査をして編集し、経験のあるウィキペディアンでも、グループで編集作業をすることはほとんどない記事名・記事構成の検討、調査・編集作業の分担や、資料探索、情報選択の差異、調査した情報を記事に落とし込む際の書き方などを見ることが今回のエディタソンの目的である。
  また、山梨県内ではこれまで山中湖、都留という県東部地域でのウィキペディア・タウン開催がおこなわれ、住民がウィキペディア記事編集を体験する機会があった。しかし、県内でもっとも人口の多い甲府市周辺ではウィキペディアのイベントはこれまでおこなわれたことがなかった。そのため本イベントを通じて、山梨県における「ウィキペディア」の認知度を上げ、活動を広報したいと考えた。
 広報活動として、山梨県に関係した有名な記事として「地方病 (日本住血吸虫症)」があ。この記事脚注に挙げられた出典300をえ、記事の執筆に使用された参考文献、引用文献を合わせても膨大な数である。これらの参考文献が開催場所の山梨県立図書館にも多く所蔵されており、記事作成に役立った資料を一度に展示してウィキペディア記事における資料の重要性と、図書館における地域資料保存の重要性を広報した

2 イベント準備
 3月より、Facebookグループを立ち上げ準備をおこなった。準備担当者として[[利用者:海獺]]氏、現地担当者として日向、丸山氏、のりまき氏、さかおり氏に協力をいただいた。4月までは開催場所となる山梨県立図書館とのイベント概要の打合せ、記事テーマ案の検討(この時期は20テーマ程度)をおこなった。また、ウィキメディア財団への支援申請をおこない旅費についての補助をいただいた。(21万円) 5月になり、フィールドワーク下見をおこなった上で、記事テーマを4つに絞った。その際執筆者予定ののりまき氏、さかおり氏に相談をおこなったため、両者はテーマ案を知ることとなった。こちらについては急遽後述のとおり対応をおこなった。
 6月以降は山梨県立図書館が事前に用意した資料リストの確認、各種消耗品購入などをおこなった。前日は遠方より来られる方が甲府に前泊され、ワインなどを飲みながら交流をおこなった。
 イベント後は執筆者、参加者共に山梨名物「おざら」を食べながら交流、情報交換をおこない、今後のウィキペディア・タウン開催にもつなげることができた。

3 開催概要
日時:2017年7月23日(日)10時~18時
場所:山梨県立図書館 1階交流ルーム(山梨県甲府市北口2丁目8-1)
主催:2017甲府ウィキペディア・エディタソン実行委員会
後援:Wikimedia Foundation、都留文科大学日向研究室
ロゴデザイン協力:尾道市立大学高岡研究室

広報
ポスターを作成し山梨県内市町村立図書館に配布した
当日地元紙山梨日日新聞の取材があり、翌日朝刊に記事がのった
また、県立図書館ホームページにイベント概要が掲載された(https://www.lib.pref.yamanashi.jp/event/2017/07/20170723.html
 
スケジュール
10時 テーマ発表・編集スタート
17時 編集終了・意見交換・質疑
18時 終了

編集テーマの決定
 当初想定では執筆者に記事テーマを秘密にし、予断がない状態でフィールドワーク、文献調査、執筆までをおこないそのプロセスを観覧するというものであった。しかし、記事テーマ案を絞る際に一部執筆者にテーマが漏れてしまったため、執筆テーマの決定に際して以下の方法をとった。
1 テーマ原案(4つ)を発表
2 テーマを既に知っている執筆者以外の者で、編集テーマを2つ決定
3 執筆者同士の話し合いで2グループにわける

観覧参加者:21名(東京、神奈川、香川、山梨、長野)
執筆者:7名(ユーザ名:[[利用者:さかおり]]、[[利用者:のりまき]]、[[利用者:逃亡者]]、[[利用者:アリオト]]、[[利用者:Swanee]]、[[利用者:Takot]]、[[利用者:Ks aka 98]]
ポスター展示見学者:15名

記事テーマ原案(容易にフィールドワークに行けるテーマとして)
1 謝恩碑:甲府城址公園内に立つオベリスク様式の石碑(編集採用)
県立図書館に準備いただいた資料
書名
著者名
出版者
出版年月
請求記号
資料番号
掲載箇所、ページ等
備考