1.  形式的冪級数の導入

はじめに

1変数の形式的冪級数(formal power series   しばしばFPSと略したりします)について簡単に紹介します。

自然数全体の集合N\mathbb{N}は0を含みます(宣言)


注意

確認をしていないので、内容の誤りや、誤字・脱字などがある可能性が高いです。
また、数式をキレイに入力する方法がよくわからなかったので、かなり読みづらいです
なにかあれば筆者(@lattemalta)にリプしてください

定義1.1

RRを可換環とする。RRの数列全体の集合(すなわち、Map(N,R)Map(\mathbb{N},R))
{a0,a1,...aiR}\{a_0,a_1,... | a_i \in R \}に対して、和と積を定義します。

和:

2つの数列{ai},{bi}\{a_i\},\{b_i\}に対して、和{ci}={ai}+{bi}\{c_i\}=\{a_i\}+\{b_i\}を、
ck=ak+bkc_k=a_k+b_k    (k=0,1,...)(k=0,1,...)
なる数列{ci}\{c_i\}と定義します。

積:

多項式の積に類似した積を導入します。

2つの数列{ai},{bi}\{a_i\},\{b_i\}に対して積{ci}={ai}{bi}\{c_i\}=\{a_i\}*\{b_i\}を、
ck=i=0kaibkic_k=\sum_{i=0}^{k}a_i b_{k-i}   (k=0,1,...)(k=0,1,...)
なる数列{ci}\{c_i\}と定義します。

定理1.2

Map(N,R)Map(\mathbb{N},R)は、上記の和に関してアーベル群を成す

証明:
  • 結合法則
  • RRが環なので自明に成り立つ
  • 単位元
  • 数列0,0,0,...0,0,0,...が単位元です。
  • 逆元
  • {ai}\{a_i\}の逆元は{ai}\{-a_i\}
  • 交換法則
  • Rが環なので自明に成り立つ

数列の和を、添え字ごとの和として定義すると、アーベル群になるよ、という話です

定理1.3

Map(N,R)Map(\mathbb{N},R)は、上記の和と積に関して可換環を成す

証明: (長いしつまらないので適宜飛ばしてください)
  • 和に関してアーベル群になること
  • 定理1.2で示しました。
  • 結合法則
  • (({ai}{bi}){ci})k((\{a_i\}*\{b_i\})*\{c_i\})_k        ←数列({ai}{bi}){ci}(\{a_i\}*\{b_i\})*\{c_i\}kk番目の値、という意味です
=p=0k({ai}{bi})pckp=\sum_{p=0}^{k}(\{a_i\}*\{b_i\})_pc_{k-p}    ←積の定義より
=p=0k(q=0paqbpq)ckp=\sum_{p=0}^{k}(\sum_{q=0}^{p}a_qb_{p-q})c_{k-p}  ←再び積の定義より