ワークショップの型[デザイン批評力を養う]

概要

ウェブサイトやアプリのユーザーインターフェイス(UI)、広告、プロダクトなどのデザインプロセスに関わる職業人が、専門的な見地からデザインを批評し、その批評をチームで共有して建設的に議論する習慣をもつことで、自身およびチームのデザイン力を磨いていくための足場づくりワークショップ。

実施のねらい

個人として

  • デザインされた対象について、直感的で個人的な印象に留まらず、それが作られる目的や背景に照らして有益な批評を行えるようになるための方法論や関わり方など、基礎となる知識を身につける
  • デザイン批評を日常的なものとし、対象を見つけては批評を重ねて鍛錬する習慣づけの機会とする
  • デザイン批評を通じて表現の幅を広げ、より細やかな視点と大局観をもってデザインの最適解を導く力を養う

チームとして

  • 日頃からデザインの批評対象を見つけてはチームで批評を共有し、意見を交わす中で異なる視点・表現アプローチなどを情報・意見交換し、デザイン力を高め合い続けられるチーム風土を育む

必要な人

  • 参加者1〜5名程度(批評対象のデザインプロセスに関わる職業人、様々の職種の混成が望ましい)
  • 指南役・ファシリテーター1名(確かな批評力をもち、批評対象を扱うデザインの熟練者)
  • 必要に応じて事務局1名、兼務可(日程・場の手配、レポート提出受付、課題図書の精算手続き案内、時間管理など)

必要な物、環境、費用

  • ミーティング環境(オンライン会議を想定、リアルでももちろんOK)
  • 課題図書の購入費(会社で行う場合、後で経費精算するなど)
  • レポートの形式や提出方法にあった筆記用具、受け口

所要時間・時間配分

参加者数や実施条件に応じて、それぞれで都合がよいように設定のこと

実施内容、大まかな流れ

[オリエンテーション]

  1. (指南役より)狙い、実施内容、大まかな流れの説明
  1. (事務局より)[個人ワーク]の実施期間やレポート提出期限・形式・提出先、[グループワーク]の実施日程・時間割、課題図書購入手続きの案内など
  1. Q&A

[個人ワーク1:知識インプット]

  1. 課題図書を読んでレポートを作成→提出(デザイン批評する意義やメリット、正しいアプローチ、難しさや妨げとなる文化などを、まずは頭で理解する)。
  • 本を読んで新たに知ったこと、認識を改めたこと

  • 疑問に残っていること、よくわからなかったところ

  • 本を読んでの感想(考えたこと、面白かったところ、もっと学びたいと思ったことなど)

[個人ワーク2:批評してみる]

  1. 自分がデザイン批評する対象を1つ選ぶ(ウェブサイトやアプリ、広告、プロダクトなど、自分が実務でデザインプロセスに関わっている分野とし、参加者の皆がなじみのあるものを選ぶこと)。
  • デザイン批評する対象
例)最近リニューアルした◯◯のスマホアプリ

  1. 選んだ批評対象について、「個人的な第一印象」「なぜ、それを選んだのか」「自分の印象のうち個人的な好みや偏見」を最初に吐き出してしまうことで、自分の私的な見解を切り分ける。
  • あなたの第一印象(良いか悪いか、好ましいか嫌か)
例)だいぶ悪い
  • それを選んだ理由(何が気になったか、自分の直感的・瞬間的・反射的・感情的な反応)
例)リニューアルして使い勝手が悪くなった、改悪だと思った、どう悪くなったのか深堀りして言語化してみたいので選んだ
  • 自分の印象のうち個人的な好みや偏見、自分の期待・願望・価値観によるところが大きいかもと思われるデザイン上の特徴
例)初期バージョンから使っている自分からすると、これまでのUIに慣れていたので大幅リニューアルに使い勝手の悪さを覚えるが、最近のテレビCMで知って初めて使いだした人からすると、〜になっている今のほうが使いやすいかも?
今回全面的に変更された色味も、個人的には前のほうが好きだけど、競合の〜と対照的で区別はしやすくなったか…。
  1. 選んだ批評対象の、どの範囲・側面を批評するのか、具体的に特定する。焦点を絞り込み、批評する観点が散漫にならないように枠組みを意識する。
  • デザイン批評する範囲・側面(ビジュアル、インタラクション、UI、UX、情報構造など)
例)◯◯のスマホアプリのUIデザイン(トップ画面)
  1. 作り手の意図やビジネス上の目的に想像を巡らせ、批評対象の前提を仮説立てる。デザイン上の制約、プロジェクト背景事情にも目配せする。
  • 批評対象の製品・サービスを通じて作り手が提供したい価値

  • 主要なユーザー像、ペルソナ


  • 利用シーン、想定シナリオ


  • ビジネス上・プロジェクト上の目的、目標、現状の課題