年末調整の情報設計
これはfreee Tech Night #3 「ビジネスドメイン開発の裏側で」のセッション「年末調整の情報設計」で話した内容の原稿です。スライドもあります。

 

freee株式会社の伊原と申します。主に人事労務freeeという、勤怠管理・人事情報管理・給与計算といったバックオフィスの仕事をクラウド化するサービスのUXデザイナー兼プロダクトマネジャーとしてやっていってます。あとアクセシビリティの本を3冊ほど出していて、あだ名は「アクセシビリティで一発当て太郎」です。休日はだいたい双子の娘と公園に行っています。

さて今回は、人事労務freeeで昨年行った年末調整機能のUIリニューアルのお話をさせていただきます。見た目としては、以下のような変化がありました。

管理者向けのUI

Before

After

従業員向けのUI

Before

After

 
……そういうわけで年末調整の情報設計というタイトルなんですが、これをたぶんそのまま「なるほど、年末調整の情報設計ね、ふんふん」と飲み込める人は少ないのではないでしょうか。実際、年末調整の意味がわからないという人は多いようで、Google検索のサジェストでも出てきます。
ということで、まずはこのタイトルを分解しながら、それぞれの解説を交えて話していきます。

年末調整とは?

まず年末調整とはなんなのか。これはですね、「年末に調整する」ということです。……何を調整するのか?と思いますよね。これは、所得税を年末に調整するという手続きのことを指しています。
所得税は1〜12月の所得から徴収されると決まっています。なので源泉徴収という形で給料から毎月天引きされているわけですが、これはみなしで徴収しているものなんです。たとえば途中で給料が変わったとか、扶養親族に変化があったとか、そういうことがあっても、年末に調整すると。また、配偶者とか保険料とか住宅ローンとかに関する控除があるんですが、これも同じくあとでまとめて計算して、年末に調整すると。

で、これをどう進めていくか。ここからは労務担当の視点でプロセスをお話します。12月の給与に対して調整する元ネタなので、12月に集めたのだと間に合いません。というわけで、会社の労務担当がだいたい10月ぐらいになるとそわそわというか、ピリピリ?しはじめます。原則として全従業員が対象の手続きなので、けっこう早めに動かなきゃならないわけです。
手順としては、まず従業員にこのへんの紙に書き込んでもらったものを集めます。見たことあるぞという方も多いんじゃないかなと。扶養、配偶者、保険料、住宅ローンといった各種控除に関する書類です。右上の記号を指して、まるふ、まるはい、まるほとか呼ばれたりします。
freeeでは勢い余ってマル扶Tシャツを着て出社する人もいます。
このほかに、保険会社からの控除証明書や、住宅ローンを組んでいる金融機関からの住宅ローン残高証明書も集める必要があります。中途入社の人がいたりすると、前職の源泉徴収票が必要だったりするので、そういうのも確認します。
で、たいてい締切が守られなかったりするので頑張って集めます。そして、集めても書き損じがあったりします。これは従業員側からすると書くのが難しい書類ですし、年一回しか書かないので翌年になると忘れちゃうんですね。そういうわけでけっこう間違いも起きやすく、書き直してもらったりという対応も必要です。

そういったもろもろを集約して、年の最後の12月の段階で計算しなおして、12月か1月かの給与において、所得税をとりすぎてたら還付する、ないし足りなかったら徴収する、そういった調整をすることを「年末調整」と言います。

ちなみに、こういうバックオフィスの手続き分野だと、対象というか主語が省略されている通称が多くてかなり混乱します。有名なのは確定申告ですが、人事労務の分野だと定時決定、随時改定といったものがあります。何を確定するの?決定するの?改定するの?という気持ちになりますよね。freeeでは手続き名を会議室の名前にしてたりするんですが、私はこの会議室を見るたびに心の中で「主語を言えよ!」とツッコんでいます。

というわけで、年末調整は人事労務分野における年間最大のお祭りであり、特に従業員が多い事業所だと洒落にならない工数がかかります。これをなんとかしたいと考える労務担当者は多いわけで、ここに対して人事労務freeeは効率化を行っていきたいわけですね。

前置きが長くてすいません。ここからは、そのリニューアルにおいて何をしたのか?についてお話します。

ユーザーリサーチ

設計前のプロセスにおいて特に突飛なものはありません。ごくふつうに以下のようなことをやりました。ここはあまり深掘りするものでもない気がするのでご紹介はあっさり目で。ご興味あるかたはお声がけください。